「Ground Echoes」宮岡貴泉・山田美優 二人展開催のお知らせ

7月1日(土)から7月15日(土)まで、MU GALLERYにて宮岡貴泉さんと二人展「Ground Echoes」を開催します。

ぜひ足をお運びいただけましたら幸いです。

<展示によせて>

このところの山田の絵画には素材として砂が使われているが、この砂は様態も居場所もごく曖昧で、まるで本来的で正解的な姿が捉えづらい。森の中や砂漠の中、あるいは川の底と言った自然界を住処として居るかと思えば、しかしコンクリートの含有物として私たちが暮らしている都市の中にも偏在している砂。またそれは岩石が砕かれた一つの状態を指し示しもするし、一つの物質としての砂でもあり得る。こんな具合に、砂は物質でもあるし状態でもあり、また自然にも都市にも属し、私たちが物事に与えるカテゴリの範疇からこぼれてしまう、あるいはその範疇で捉えきれないほど小さく存在している。そして、だからこそそれを素材として使うことは、山田が自分の作品に物語る力を与えることに繋がる。

山田の絵にしばしば登場する綿毛のような「何か」は、本人に聞くところでは、生きる上での浮遊感や不確実性といった生活感情あるいは実存感のアレゴリーだという。抽象的だが、言うなれば意味がもつれたようにズレを起こしていて、何か両跨ぎになっている、うまく歯車がはまっていない感覚だろうか。ともあれ、山田が作品を通して語ろうとしている「どちらとも断言できない感覚」は、だからこそ砂を使うことで物理的なレベルに表出する。自然でもあり、人工でもある砂と、Aとも言えるし、Aでないとも言えるような山田の描く「何か」。山田にとっての砂は、こうした複視的な、あるいは流動的な、一つの事柄にいくつもの意味が重なった状態を示唆するモチーフと言える。

こうした意味のもつれは、とはいえパーソナルなレベルに限らない。例えば日本における原生林つまり人の手が加わっていない森林は国土全体のたった5%にも満たないというが、しかしそれが人工的に管理されていようと、きっと私たちは山間部にある森林や河川、あるいはそこで昆虫や動物が生息している様子を「自然」だと呼ぶだろう。ものの見え方や意味合いは、観測地点がわずかに変わるだけで様変わりする。そうした今日的な社会の性格としての意味のもつれを踏まえると、山田の作品は一つの言語として、あらかじめ作家が与えたもの以上の何かを私たちに示唆し得るにも思える。                

奥岡新蔵

<展示概要>                             
「Ground Echoes」宮岡貴泉・山田美優 二人展                 
7月1日(土)〜7月15日(土)                     
12:00 pm – 6:00 pm                          
休廊日:日、月、祝日 ※7/9(日)は開廊7/7(金)はTAC GALLERY NIGHのため21時まで開廊。                               ⁡
〒140-0002 東京都品川区東品川 1-32-8 TERRADA ART COMPLEX II 2F03-6433-1145⁡                                 

<ACCESS>東京臨海高速鉄道りんかい線・天王洲アイル駅 「B出口」より徒歩約8分京急本線・新馬場駅 「北口」より徒歩8分都営バス(品 91, 93, 96, 98, 田 92) 天王洲橋バス停より徒歩2分⁡⁡⁡

問い合わせ先:MU GALLERY
info@m-ugallery.com
https://www.mugallery-tokyo.com/